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すると入江は腰を浮かせて三津の頭の後ろに手を回して引き寄せた。
「入江さん?」
入江の胸に軽く額をつけた状態になり心音が徐々に加速する。
後頭部を抑える力が少し弱まった時に上を向くと顔に影が落ちてきた。
入江が真剣な眼差しで首の角度を傾けた時,
「九一!どこ行ったー!」 【脫髮先兆】頭髮變幼變薄?留意四大脫髮成因!
遠くから響く高杉の声に二人の体が小さく跳ねた。
その足音が徐々に近付いてくる。
入江は咄嗟に三津を押入れに引きずり込むと後ろから抱き締め,右手で口を覆った。
「静かにしてて。」
耳元で囁かれて頷くしかなかった。
真っ暗闇の中でじっと身を固くした。
「ここか!?」
豪快に障子を開ける音と高杉の声。
息を潜めてその声が立ち去るのをじっと待つ。
『早く!早くどっか行って!』
何も見えない状態で後ろから抱き締められて口も塞がれて心臓が破裂しそう。
高杉の足音が遠ざかって行って三津はようやく体の力を抜いたけど,入江はしばらく三津を抱き締めたままだった。身動きも取れないまま沈黙に堪えていると耳元でくすっと笑う声がした。
「かくれんぼみたいで懐かしいですね。」
そこでようやく入江の手が口から離れて三津は大きく深呼吸をした。
「あ……あの私針持ったまんまで危ないからそろそろ外に……。」
こんな心臓に悪いかくれんぼがあってたまるか。
襖を開けようとした右手は入江の右手に掴まれた。
「もうちょっとだけ。こうしてて。」
「いや!ちょっと!」
『困る!心臓が痛い……。』
入江の鼻先が首筋に当たって肩を小さく揺らした。
「少しだけ……。」
そう漏らした入江の吐息が首筋にかかってくすぐったかった。
ただ何をする訳でもなく少しの間密着していた。
それからありがとうと呟いて入江は三津を解放した。
のそのそと押入れから出た時には外の光が眩しいくらい目は暗闇に慣れてしまっていた。
「またしましょうね。かくれんぼ。」
満足げに笑った入江は静かに部屋を出て行った。
『何がしたかったんやろ……。』
呆然としながら障子を見つめてはっと我にかえる。
「今何時!?夕餉の支度!!」
三津は縫いかけの浴衣をほっぽり出して台所へ走った。
「あ!来たな!!」
そこで高杉が待ち構えていた。
「ここで何してるんですか高杉さん。一緒にご飯炊きます?」
「どこに隠れとったそ?全部の部屋見て回ったのにおらんかった。」
「かくれんぼは得意です。」
ふふっと笑って高杉をかわし,手早くたすき掛けをした。
「九一も居らんかったぞ。二人で何しとったそ。」
それには一瞬顔が引き攣った。何でそんなに鋭いんだ。
「入江さん帰ってはるんですか?乃美さんのお部屋は探しました?」
なるべく目を合わせないように炊事に取り掛かった。
「そこは見ちょらん……。乃美さんの部屋はいけん!次は無しやからな!」
「知りませんよ私は乃美さんを頼るように言われてますもん。」
本当に乃美が苦手なんだなとけらけら笑った。
「なぁ三津さん。俺と一緒に長州に行かん?三津さんが一緒なら大人しく帰るけぇ。」
「それは小五郎さんに言ってください。」
軽くあしらったつもりで口にしたのに高杉は目を光らせた。
「分かった!桂さん説得して俺が嫁に貰う!」「……え?」
「今日はいつ戻って来るんやろな。必ず説得して嫁に貰うけぇ三津さん待っちょってな!」
無邪気に笑ってから三津をぎゅっと抱き締めて台所を飛び出した。
「え?嘘でしょ?」
開いた口が塞がらない。
え?私どうなるの?泣きそうな顔でサヤとアヤメを見た。
「大丈夫ですよ。桂様が三津さんを他の誰かに渡すなんてあり得ませんよ。」
サヤは落ち着いてと三津に優しく微笑んだ。
それでも相手が高杉なだけに三津は余計に不安を感じた。
それから高杉は玄関でひたすら桂の帰りを待った。